第76話

エミリーの視点

好奇心旺盛なパックのメンバーたちがスタジアムに群がり、今日の決闘を見ようと熱心だった。

「今日のことが野火のように広まったみたいね」と、イライラしたウィローがつぶやいた。「彼らは誰を応援するつもりなのかしら」

「それが、パックの選ばれた未来のルナだと言う人がいるとこうなるのよ」と私は言い返した。

狼の遠吠えがにぎやかなスタジアム中に響き渡ると、群衆は静まり返った。全員がアレックスと評議会の方を向いた。彼らは席の上座に座っていた。

アレックスが決闘前に私を訪ねてくる努力さえしなかったことが少し傷ついた。

「多分、彼はあなたの気を散らせたくないのよ」とウィローが悲しそうに言った。

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