第852話グッドフォーチュン

サスキアは同意するしかなかった。

ナサニエルが彼女の指に指輪を滑り込ませると、銀のバンドは完璧に、彼女の指にぴったりと収まった。

それから彼女は、お揃いの指輪をナサニエルの指にはめた。

その時になって初めて、彼女はナサニエルの指輪の文字のデザインが自分のものと違うことに気づいた。

彼女の指輪の文字は浮き彫りになっていた。

ナサニエルの指輪では、文字は内側に刻まれ、皮膚に食い込むようになっていた。痛くはないかもしれないが、不快な感じだった。

サスキアは一瞬呆然とした。

ナサニエルは彼女の注意が逸れているのに気づき、優しく彼女を引き上げ、さりげなく現実に引き戻した。

「ごめんなさい...

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