絶色の香り

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第107話

父と母に捨てられたあの日から、私は「弱虫」というレッテルを貼られ続けてきた。あの頃よく考えていたのは、父が私と同じ年頃だった時、彼もまた「弱虫」だったのだろうかということだ。弱虫の息子は当然弱虫になる。そう思い込み、いつしか私は「弱虫」であることを受け入れていた。人にいじめられても、反抗する勇気すらなかった。

当時、私と母は辺鄙な村に住んでいた。そこには地主も、悪党も、そして私と同い年なのに威張り散らす不良たちもいた。彼らは私に父親がいないことを知り、いじめやすい標的だと思ったのだろう。殴られ、罵られ、侮辱され続けた。それでも私は耐えていた。

だがある日、彼らは「お前の母親は安物だ」「お前...

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